サーバーサイド タグ設定が役立つ理由と場面

サーバーサイド タグ マネージャーは、ユーザーから収集するデータをコントロールしやすい設計となっており、データの収集元であるユーザーと送信先であるベンダーの間のバッファとして作用します。

サーバーサイド タグ設定の主なメリットは次の 3 つで、使用場面もこれによって選ぶことができます。

  • プライバシー管理の強化
  • ウェブサイトやアプリのパフォーマンス向上
  • データ品質の改善

サーバーサイド タグ設定でユーザー プライバシーの管理を強化

マーケティング データのフローを制御することにより、データ プライバシーとユーザー セキュリティの条件を調整しやすくなります。

次の図は、従来のクライアントサイド タグ設定とサーバーサイド タグ設定におけるデータフローの違いを示したものです。


クライアントサイド タグ設定とサーバーサイド タグ設定を比較した図。

クライアントサイド タグ設定: ユーザーのブラウザまたはモバイル デバイスが、ベンダーのサーバーと直接やりとりします。どのような情報が処理されるのか、コントロールするのは困難です。たとえばユーザーの IP アドレスは、ベンダーのサーバーに向けた通信では常にブロードキャストされています。

サーバーサイド タグ設定: データはユーザーからサーバー コンテナへと流れます。サーバー コンテナに届いた HTTP リクエストは、適切にコントロールしたうえでマーケティング パートナーに送ることができます。プライバシー確保のために HTTP リクエストを検証、パース、匿名化、あるいはブロックすることも可能です(Cookie に関する同意有無の尊重ユーザーデータの匿名化)。

サーバーサイド タグ マネージャーは通常、データを収集するウェブサイトに対してファーストパーティ コンテキストで運用されます。このため、ベンダーがサーバーサイド タグ設定環境を通してサードパーティ Cookie にアクセスすることはできません。また、ブラウザが通信する必要のあるサードパーティ ドメインの数が減るため、コンテンツ セキュリティ ポリシーの厳格化が可能です。

従来は持続的と考えられていたフィンガープリンティング ベクター(例: IP アドレス、その他の HTTP ヘッダー)を無力化できる点も、サーバーサイド タグ設定の特徴です。ベンダーが確認できるのは、(ユーザーのブラウザやデバイスからではなく)サーバーからのリクエストだけです。

サーバーサイド タグ設定でクライアントサイドのパフォーマンスを最適化する

ユーザーのブラウザとデバイスにかける負荷を軽減することは、あらゆるウェブ アプリケーション開発者とウェブサイト管理者にとって重要な仕事です。

ユーザーの注目を得ようとしのぎを削るウェブサイトにとって、クライアントサイドのパフォーマンスの確保は不可欠です。そして残念ながら、マーケティング タグがクライアント側パフォーマンスのボトルネックの原因となり得ることも否定できません。

サーバーサイド タグ設定なら、クライアント側の負荷を軽減することができます。コンバージョン イベントが発生した際、ほとんど同内容のリクエストをベンダーごとに送信するのではなく、単一のデータ ストリームをサーバー コンテナに送るだけで済むためです。あとはサーバー コンテナ側でリクエストをマッピングし、その情報を必要としているベンダーに配布します。

同様に、クライアント側で読み込む必要がある JavaScript ライブラリの量も大幅に削減できます。読み込む必要があるのは、リクエストを組み立てるのに使用するライブラリだけです。つまり、実装に応じて Google タグ、またはタグ マネージャーのウェブコンテナを読み込むことになります。

マーケティング用途のライブラリやリソースは、サーバーサイド タグ設定環境を通して読み込みます。サーバーをコンテンツ配信ネットワーク(CDN)として使用することにより、カスタム キャッシュ ヘッダー、圧縮メカニズム、一時ストレージを追加して、さらに読み込み時間を短縮可能です。

サーバーサイド タグ設定でデータ品質を改善する

データ処理の場をクライアントからサーバーに移すことで、データ品質の改善に役立つメカニズムの活用が可能になります。

たとえば、ユーザーのブラウザからのデータフローをファーストパーティ コンテキストに移行させれば、設置するブラウザ Cookie に HttpOnly フラグを付与できるため、持続性と安全性が高まります。

サーバーサイド処理はユーザーのブラウザの外で行われるため、ブラウザには開示できない情報も活用してデータをさらに充実させることも可能です。たとえば API Secret、ビジネス上の機密データ(例: 利益率)、ユーザーデータ(例: メールアドレス、その他の個人データ)などの活用が考えられます。

サーバーサイド タグ設定環境でカスタム テンプレートを利用すれば、サーバーが収集・処理するデータの正規化も容易になります。データ収集のために、ユーザーのブラウザやデバイスに古い(場合によっては危険さえある)サードパーティ JavaScript を実行させる必要はありません。

まとめ

サーバーサイド タグ設定は、センシティブなデータの適切な管理、データ品質の改善、サイトのパフォーマンス向上に役立ちます。

次は、実際にサーバー コンテナをセットアップしてみましょう。