簡単にできるウェブサイトのユーザー テストやユーザー リサーチの方法

2012年2月13日月曜日

ウェブマスター チームは、数万件もの Google のウェブページを日々取り扱っています。今回は、ウェブマスターチームのこのような実地の経験に基づいたヒントやアドバイスをご紹介いたします。

もしご自身のウェブサイトにおけるユーザーの利用状況のテストや解析をまだ行ったことがないのであれば、サイトがターゲットのユーザーにとって有用なものになっているかを確認してみることをお勧めします。たとえば一例として、平均的なユーザーが下にスクロールする回数は上にスクロールする回数の 5.9 倍、つまり一度スクロールして通り過ぎたコンテンツは多くの場合「もう見られることがないも同然」であると言われています。まずはあなたのサイトの中に必要以上にスクロールさせるページがないかどうか、そしてそのページのアクセスログを解析し、直帰率の高さや滞在時間の長さなどを確認してみてはいかがでしょうか?( スクロールに関する Jakob Nielsen 氏の研究結果 (英語)では、ユーザーはスクロールすることを嫌がらないけれどもそれにも限界がある、と述べられています)

まず、あなたのユーザーについて考えてみましょう

新たなウェブサイトの制作をするときは、まったく新しいサイトを構築する場合でも、既存サイトをリニューアルする場合でも、次のことについて考えてみると良いでしょう。
  • ユーザーはどこからサイトにアクセスするのか(自宅から、職場から、それとも外出先から)。
  • 訪問者はどの程度技術に精通しているのか。
  • ウェブサイトで取り上げる内容にユーザーはどの程度馴染みがあるのか。
このような項目についての答えが、初回のサイト デザインを決めるにあたって大いに役立つことがあります。

たとえば、外出先でアクセスすることが多いユーザーは、サイトで必要な情報を見つけるための時間があまりなかったり、じっくり集中しにくい環境にあり、またデータ接続も低速であったりすることが考えられます。その場合、目的を 1 つに絞ったシンプルなレイアウトが最適でしょう。また、技術にさほど詳しくないユーザー向けにコンテンツを提供する場合、目的のコンテンツにアクセスするのが難しくなり過ぎないようにしましょう。アニメーションを使えば華やかになるかもしれませんが、それがユーザーにとって価値があり、また目的のコンテンツにアクセスするのが難しくなり過ぎない場合だけ利用するようにしましょう。

テストをしなくても、基本となるユーザー プロフィール(いわゆる「ペルソナ」)を作成してみると、ユーザーにとって使いやすいデザインを作る上で役立つことがあります。プロフィールといっても、ユーザーの生い立ちや背景などを事細かに網羅する必要はなく、ユーザーの行動パターンを考えてみるだけでも足りるでしょう。

シンプルなテスト

テストは多額の費用をかけて大がかりに実施する必要はありません。友だちや家族に聞いてみるだけでも大きなヒントを得られるでしょう。ポイントとなるのは次のようなことです。
  • テスト対象者の人数 : サイトのレイアウトやナビゲーションの問題点を見つけるには 5 人くらいに聞いてみるだけでも十分でしょう( サンプル サイズが小さくても十分である理由を述べた Jakob Nielsen 氏の記事 (英語) をご覧ください)。
  • テスト対象者を選ぶ : さまざまな技術レベルの人を揃えた方が有用な結果につながりやすいでしょう。ただし、発生した個々の問題よりも全体の傾向を重視するようにします。たとえば、テスト対象者の半数以上に同じユーザビリティの問題が発生した場合は、本当に対処が必要な問題であると判断できるでしょう。
  • テストの場所 : 可能であればユーザーの自宅を訪問して、サイトを利用する様子を観察してみましょう。ユーザーにとって自然な環境でリラックスした状態で普段どのようにウェブを見るのかを観察します。実際にユーザーを訪問できないときはリモート テストを行うのもよいでしょう。このような場合に Google+ ハングアウトを活用できるという報告も届いています( Google+ ハングアウトの使い方について詳しくはこちらをご覧ください )。
  • テスト方法 : サイトの目的に応じてウェブサイトで行う簡単な操作を 4 つか 5 つ考え、ユーザーに実行してもらいましょう。テスト対象者の体験や思考をよく理解できるように、思ったことを声に出して言ってもらうとよいでしょう。
  • テストするべき項目 : テスト用のサイトをまるごと 1 つ構築しなくても、クリックできる画像や文書のフォーマット(PDF など)または HTML などの基本的なプロトタイプを使って、基本的なインタラクションをテストすることができます。さまざまなナビゲーションやレイアウトをテストすることで、実際に実装する前にどのようにユーザーに利用されるかを確認することができます。
  • テストするべきではない項目 : グラフィック デザイン要素よりも機能性に重点を置きましょう。デザインについては感じ方が主観的であることが多いからです。デザインについての有用なフィードバックが得られるのは、大人数(200 人以上)のユーザーを対象とした定量的なテストを行った場合に限られると言われています(ただし、たとえばサイトに使用する色によってコンテンツが判読できなくなるという場合などは、そのようなテストをしなくても有用なフィードバックが得られるでしょう)。デザインについてある程度の有用なフィードバックを得る方法としては、記述的なキーワードを 5~6 個用意して、その中からサイトに最もあてはまるものをユーザーに選んでもらうという方法などがあります。
全体として、基本的なテストはウェブサイトの機能がどのように動作しているか、つまり情報がどの程度簡単に見つけられるか、またサイトとのインタラクションがどのようなものになるかを確認する上で非常に有用です。

ユーザー テストから分かったこと

もし本当に調査とテストを行う価値があるかどうかまだ確信が持てないなら、実際に私達がユーザーに接して得ることができた事例が参考になるでしょう。いくつかの例を以下に紹介します。これらは、実際のユーザーと直接対面して Google のウェブページを利用する様子を観察しなければ、あるいは Google のウェブ トラフィックを解析しなければ知り得なかったことです。
  • コンテンツを表示/非表示にするレイアウトを使用する場合は注意する : スクリプトを使用して長いテキストを展開したり折りたたんだりするようにしている場合、ユーザーが折りたたまれたコンテンツの存在に気づかないケースが多いことがわかりました。たとえば JavaScript で折りたたまれて非表示になるコンテンツは、ユーザーがページ内を検索(たとえば Ctrl+F キーを使うケース)しても見つかりません。

テストしたレイアウトのワイヤーフレームです。折りたたまれた
コンテンツが左下に表示されています。

最終的なページ デザインです。最上部にアンカーリンクが表示され、
コンテンツはページ本文の中に配置されています。
  • 言葉の使い方を確認する : 見出し、リンク、ボタンは、ユーザーがページをざっと見たときに最も目を引く要素です。たとえばリンク テキストには「詳細を読む...」という言葉を使わないようにしましょう。ユーザーはさらに何かを読まなければならないと感じさせるリンクをクリックすることを避けるようです。その代わりに、ユーザーがリンクをたどった後にどのようなコンテンツが表示されるのかをそのまま説明する言葉を使うように心がけましょう。リンク テキストは周りの文脈と切り離されたとしても意味が通り、簡単に理解できるようなものにしましょう(実際にユーザーがざっと見るときにはそのようにして読まれるからです)。またボタン テキストの場合には言葉の使い方を工夫して、内容がわかりやすく、ユーザーの興味を引き、クリックしてみたくなるようなものになるよう心がけましょう。
  • 低速接続の環境でページをテストする : さまざまなネットワーク環境を使用してページをテストしてみましょう(たとえば、近所のカフェや友だちの家の Wi-Fi などを使ってブラウジングしてみましょう)。ご自分のサイトのターゲット ユーザーが、たとえば職場のネットワークほど高速でない家庭用のインターネット接続でページを表示する可能性が高い場合には特にこのテストは有用です。私達のケースでは、スクリプトを使用したアニメーションをシンプルかつ高速にし、CTR (クリック スルー レート)とサイト滞在時間の数値が大幅に改善されました(低速のインターネット接続でテストできない場合は Google の Page Speed Online でパフォーマンスを確認することができます)。
終わりがないかのように思える開発のやり直しのサイクルにはまり込んでしまったときは、まず少しだけ立ち止まってユーザー プロフィールの作成と基本的なテストを行うことで、サイトのレイアウトやアーキテクチャに対する適切なアプローチを選択できるようになるでしょう。

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