2018 年 6 月 28 日(木曜日)
Google が常に心がけているのは、Google 検索で情報を探しているユーザーにできる限り質の高い検索結果を提供することです。しかし、検索結果の掲載順位を操作し、そこから利益を得ようとする悪質な行為も後を絶ちません。こうした行為は、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」という Google の使命とは相反するものです。Google は長年にわたって、こうした不正行為との闘いに多大な労力を費やしてきました。ここでは、2017 年に Google がどのように不正行為と闘っていたかを紹介します。
Google では、ウェブマスター向けガイドラインに違反するさまざまなタイプの不正行為をまとめて「スパム」と呼んでいます。独自に分析したところ、ユーザーが検索結果からアクセスしたサイトがスパムサイトだった割合は長年 1% を下回っており、さらにここ数年は 0.5% 以下に抑えることができています。
2017 年のウェブスパムの傾向と Google の対策
スパムとの闘いはまさにイタチごっこです。対策をとれば、スパマーたちがそれをすり抜ける方法を編み出してきます。2017 年を象徴する動向の一つが、掲載順位の操作やマルウェアの拡散を目的とするウェブサイト ハッキングの増加でした。ハッキングされたウェブサイトは、ユーザーにとって重大な脅威となります。ハッカーはサイトを完全な支配下に置いて、ホームページを改ざんしたり、適正なコンテンツを削除したり、マルウェアや有害なコードを挿入したりできるからです。また、パソコン上のキー入力を記録したり、オンライン バンキングや金融取引のログイン認証情報を盗んだりすることもあります。2017 年はこの脅威を軽減することに力を入れ、ハッキングされたサイトの 80% 以上を検知して検索結果から除外できるようになりました。しかしハッキングは、検索を行うユーザーだけでなく、ウェブサイトの所有者にとっても深刻な脅威です。そこで Google では、所有者がウェブサイトを安全に運営できるよう、サイトのセキュリティを強化するための実践的なガイドを提供するとともに、サイトがハッキングされたときの対処ガイドを一新しました。これらのガイドは 19 の言語でご利用いただけます。
Google は、堅牢なコンテンツ管理システム(CMS)の重要性も認識しています。大部分のウェブサイトは、いくつかの主要な CMS のいずれかで運営されています。そしてスパマーは、ユーザー生成コンテンツを悪用する(たとえばコメント欄やフォーラムにスパム コンテンツを投稿する)方法を見つけることで、CMS のセキュリティ上の弱点を突いてきます。Google は、主要な CMS を提供している WordPress や Joomla などと緊密に連携し、こうしたシステムがフォーラム、コメント欄、ウェブサイトを悪用するスパマーと闘えるよう支援しています。
他にも典型的な不正行為として挙げられるのが「リンクの操作」です。リンクは、Google 検索の基礎的なランキング シグナルの一つです。2017 年は、ランキング手法の改善とスケーラブルな手動による対策を通じて不自然なリンクの削除に力を注ぎ、スパムリンクを前年比でほぼ半数にまで減らしました。
より快適なウェブの実現に向けたユーザーやウェブマスターとの連携
Google は皆様からの報告を歓迎します。スパムの検出やブロックはシステムを自動化して 24 時間体制で行っていますが、「フィッシングの疑いがある」といった報告はいつでもお寄せください。検索スパムに関するユーザーからの報告は、昨年 1 年間で 9 万件近く寄せられました。
スパムやマルウェアなどの問題を Google に報告していただくことが、サイトの所有者や検索ユーザーを不正行為から守ることにつながります。報告フォームは、スパム、フィッシング、マルウェア用にそれぞれ用意しています。これまでにご報告いただいたすべての方に感謝するとともに、今後も引き続きご協力いただきますようお願いいたします。
さらに Google は、ウェブ エコシステムの健全性を維持するため、サイト所有者とも積極的に連携しています。昨年は、ウェブサイトに問題があることが特定されたサイトの所有者宛てに、Search Console を通じて 4,500 万通のメッセージを送信しました。そのうち 600 万通以上が手動による対策に関わるメッセージです。ウェブサイトが手動による対策の対象になった理由を説明し、問題を解決する方法を示すことで、サイト所有者の皆様の理解を得たうえで対処を進められるようにしています。
新しい Search Console のベータ版をリリースしたのも昨年でした。当初は一部のユーザーに限定してリリースし、その後すべての Search Console ユーザーに公開しました。ユーザーの皆様が何を必要としているかをお伺いして、検索パフォーマンスやインデックス カバレッジなど、要望の多かった機能から順に追加しています。こうした機能の拡充により、Google 検索での掲載の最適化がさらに簡単になっています。
Google は、セーフ ブラウジングの保護機能の拡張を通じ、不正なウェブサイトからユーザーを保護しています。昨年は、この機能を大幅に改良しました。macOS デバイスへの保護対象の拡大、Chrome へのフィッシング予測保護機能の追加、モバイルの望ましくないソフトウェアへの厳正な対処などのほか、不正な Chrome 拡張機能のインストールからユーザーを保護するために大幅な改善を加えました。
Google は、サイト所有者と直接交流できるチャンネルを複数用意しています。Google の専門チームのメンバーは、オンラインと対面で定期的にサイト所有者と会合しています。オンライン オフィスアワー、オンライン イベント、オフライン イベントを世界 60 以上の都市で 250 回以上開催し、22 万人を超えるウェブサイトの所有者、デジタル マーケティング担当者の皆様にご参加いただきました。また、Google の公式サポート フォーラムでは、さまざまな言語で寄せられた膨大な数の質問にお答えしています。昨年、フォーラムで生成されたスレッドは 6 万 3 千件に達し、全世界の 100 人以上のトップレベル ユーザーから 28 万件を超える投稿をいただきました。詳細については、こちらの投稿をご覧ください。フォーラム、ブログ、SEO スターター ガイドに加え、Google ウェブマスターの YouTube チャンネルでもさまざまなヒントや情報を紹介しています。新たに SEO スニペットという動画シリーズも始まりました。SEO に関する具体的な質問に、スペシャリストが簡潔かつ的確にお答えしています。ぜひチャンネルにご登録ください。
以上のように、昨年 1 年間でさまざまな改善を施しましたが、もちろんこれで終わりではありません。Google が追い求めるのは、不正行為を一切心配する必要のないユーザー エクスペリエンスの実現です。これからもウェブ エコシステムに関わる皆様のご協力をいただきながら、不断の改善に取り組んでまいります。