NPO 向けサイト クリニックを実施しました

2012年9月21日金曜日

「サイト クリニック(Site Clinic)」をご存知ですか?

「サイト クリニック」とは、実在するサイトを題材に、Google 検索と相性の良いサイト運営の方法について考え、ディスカッションをするイベントです。これまでも スペイン ドイツ 中国 インド などで開催し、ウェブマスターの皆さまに好評を頂いています。

先日、この「サイト クリニック」を、日本でも実施しました。
Google Serve という社内のコミュニティ活動プログラムの一環で「NPO (非営利団体)スタッフの方を対象とした Google プロダクト活用ワークショップ」と題したイベントを実施、そのプログラムの一部としてサーチ クオリティ チームのメンバーがサイト クリニックを実施しました。


今回のサイト クリニックは NPO の方だけでなく、一般のウェブマスターの方にも役立つ内容だと思いますので、当日の様子をご紹介します。今回はいくつかの参加団体のサイトを題材に、Google 検索と相性の良いサイト運営を行う上での 5 つの基礎ポイントについて確認し、ベストプラクティスや改善点などをご紹介しました。


「Google 検索と相性の良いサイト運営: 5 つの基礎ポイント」の紹介

「5 つの基礎ポイント」は Google が提供している 検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド の第 1 章にも掲載されている以下のポイントをご紹介しました。

  1. 質の高いコンテンツを提供しよう
  2. 適切なページ タイトルを付けよう
  3. description メタ タグを設定しよう
  4. URL の構造を改善しよう
  5. ナビゲーションをわかりやすくしよう
初歩的な項目が並んでいるように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、サイトの情報を検索ユーザー、検索エンジンにきちんと伝える上でどれも非常に重要なポイントです。「うちのサイトは当然大丈夫だ」と思われている皆さまも、ぜひもう一度確認してみてください。

ここでは概要と、当日参加された NPO のサイトからのベストプラクティスをご紹介したいと思います(各項目についての詳細は 検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド をご覧ください)。

  1. 質の高いコンテンツを提供しよう
    「質の高いコンテンツ」というと、「自分達のサイトのコンテンツって質が高いかな」と不安に思われる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、様々な社会問題の現場で活動されている NPO の皆さまは、既に多くの有益なコンテンツをお持ちであることが多いと考えられます。実際に今回イベントに参加された NPO の皆さまのサイトにも、環境保全や災害支援、海外協力など様々な分野での取り組みを通じたユニークで貴重な情報が溢れていました。では、こうした貴重で質の高いコンテンツを、検索エンジン経由で多くの人達に届けるにはどうしたらよいでしょうか?それには、団体のサイト上にあるコンテンツを、ユーザーにも、検索エンジンのクローラー(Googlebot など) に対してもわかりやすい形で整理し、提供することが重要となります。そうした情報を整理する作業は、検索エンジン最適化(SEO) の基本の 1 つです。

  2. 適切なページ タイトルを付けよう
    ページ タイトル は、いわばページの表札のようなものですので、サイトの訪問者と検索エンジンの双方にそのページのトピックが何であるかを伝えるよう設定します。 国際人権 NGO アムネスティ日本 (以下、団体名敬称略)のサイトや スペシャルオリンピックス日本 のサイトのように、そのページにどのようなコンテンツが含まれているかを簡潔に示すページ固有のタイトルが付いていると、それぞれのページのトピックが検索ユーザーにも検索エンジンにもわかりやすくなります。複数のページで同じページ タイトルを使いまわすのは避けましょう。また、タイトルが長すぎると検索結果にはその一部しか表示されなくなります。NPO のサイトの場合、団体名をタイトルに含める際に「特定非営利活動法人」や「公益財団法人」など法人格も含めるとタイトルが長くなり、一部切れてしまう傾向が見られました。何をユーザーに伝えたいか、法人格を入れる必要性のあるページとはどんなページかなどについて検討の上、タイトルを設定していくことが重要です。
    *そのページが検索キーワードと関連性が高いものであると気づいてもらうため、Google では、代わりのページ タイトルを生成するアルゴリズムを利用することがあります( 関連ブログ記事 )。


  3. description メタ タグを設定しよう
    description メタ タグ とは、Google やその他の検索エンジンにページの概要を伝えるもので、Google 検索ではスニペット(検索結果ページでタイトルの下に表示されるテキスト、説明文)の情報として利用する可能性があります。ページ タイトルと同様、ユーザーが閲覧するページを決める際に参考にする重要な情報となりますので、そのページの内容を簡潔にまとめ、それぞれのページに固有の description メタ タグを設定しましょう。 国際ボランティア NGO NICE のサイトでは、例えば トップページ ワークキャンプ情報のページ でそれぞれ異なる、ページ固有の簡潔な description メタタグが設定されています(description メタ タグは各ページのソースから確認が可能です)。

    トップページ の description メタ タグ
    <meta name="Description" content="初めてでも一人でも大丈夫♪国際ボランティアに興味のある学生や社会人にオススメ!NICEでは日本全国・海外約100ヶ国の短長期の国内海外ボランティア募集情報を公開!">
    

    ワークキャンプ情報のページ の description メタ タグ
    <meta name="Description" content="国際ボランティアNGO NICE(ナイス)が提案する国内の国際ワークキャンプ最新情報">">
    
    

  4. URL の構造を改善しよう
    URL の構造を考える際に 、コンテンツのカテゴリや、ファイル名に説明的な名前を利用することは、検索エンジンがそれらのドキュメントを理解しやすくなることにもつながります。また、ページの URL は Google の 検索結果にも表示され、ページ タイトルやスニペットと同様、ユーザーの検索キーワードが URL に含まれていた場合、その部分が太字で表示されます。そこで、”page1.html” のような一般的なファイル名ばかりになっていないか、ディレクトリ構造が過度に複雑になっていないかなど、今後ページが増えて対処困難になる前に、一度現状を整理し、ファイル名のつけ方やディレクトリ構成について運用ルールを作っておくことをお勧めします。特に複数のメンバーによってコンテンツを更新している団体の皆さまに有効でしょう。以下の URL 群は 国際協力 NGO シャプラニール のサイトの URL 構造の一部を書き出してみたものです。URL からページの内容が想像できるくらい各ディレクトリ、ファイル名が明確で、かつディレクトリ構造が適切に整理されていることがわかります。

    https://www.shaplaneer.org/
    :
    https://www.shaplaneer.org /about/
    https://www.shaplaneer.org /about/ access.html
    https://www.shaplaneer.org /about/ articles.html
    https://www.shaplaneer.org /about/ conference.html
    https://www.shaplaneer.org /about/ history.html
    https://www.shaplaneer.org /about/ history_table.html
    https://www.shaplaneer.org /about/ media.php
    https://www.shaplaneer.org /about/ message.html
    https://www.shaplaneer.org /about/ mission.html
    https://www.shaplaneer.org /about/ outline.html
    :
    https://www.shaplaneer.org /about/ report/ 2008annual.pdf
    https://www.shaplaneer.org /about/ report/ 2009annual.pdf
    https://www.shaplaneer.org /about/ report/ 2010annual2.pdf
    https://www.shaplaneer.org /about/ report/ 2011annual.pdf
    :
    https://www.shaplaneer.org /activity/ india/ drcsc.htm
    https://www.shaplaneer.org /activity/ india/ map.htm
    https://www.shaplaneer.org /activity/ india/ parichiti.htm
    https://www.shaplaneer.org /activity/ india/ projectnews.htm
    https://www.shaplaneer.org /activity/ india/ top.htm
    https://www.shaplaneer.org /activity/ nepal/ basic_info.htm
    https://www.shaplaneer.org /activity/ nepal/ children.htm
    https://www.shaplaneer.org /activity/ nepal/ children_situation.htm
    https://www.shaplaneer.org /activity/ nepal/ csd.htm
    :

  5. ナビゲーションをわかりやすくしよう
    サイトのナビゲーション(ページ間の誘導経路)をわかりやすく整理することは、ユーザーが迅速に目的のコンテンツにたどり着けるようにするために重要です。また、検索エンジンにとっても、ウェブマスターがどのコンテンツを重要と考えているのかを理解するのに役立ちます。
    ナビゲーションの設定としてまず最初にお勧めするのは「トップページからそれぞれのページにスムーズにたどり着けるか」ということを確認してみることです。そして、サイトマップ(HTML 形式、 XML 形式 両方)や パンくずリスト を作成することで、ユーザーにとっても Googlebot にってもサイトの構造をわかりやすく示すことが可能です。また、 かものはしプロジェクト のサイトのように オリジナルの 404 ページ を用意しておくことも、リンク切れや消去したページを訪れたユーザーの混乱(そしてサイトからの離脱)を防ぐ上で有効です。

以上、Google 検索と相性の良いサイト運営を考える上での 5 つの基礎ポイントについて、ダイジェストでご案内しました。具体例として紹介することにご快諾いただいた NPO の皆さま、ありがとうございました。
イベントの際にも「実際のサイトの具体例があることで、自分の団体のサイトの改善ポイントがクリアに見えた」といった感想を頂くことができましたが、このブログ記事が様々な分野で活動されている NPO の皆さま、そして多くのウェブマスターの皆さまにとって少しでもお役に立ちましたら幸いです。

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